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2026/10/12

日本は「技術」で負けたのか?世界競争力30位から考える日本企業の意思決定

日本の世界競争力は2026年に70カ国・地域中30位。
一方、日本は特許や企業R&Dで世界トップクラスの力を持っています。
なぜ高い技術力が競争力や成果へ十分につながらないのか。
海外企業との実体験と最新データから、日本企業の意思決定について考えます

日本の技術力は、本当に世界から遅れているのでしょうか。
AI、半導体、EV、エネルギー、新素材、ロボット。
世界では次々と新しい技術や事業が生まれ、日本企業の存在感が以前ほど見えなくなった分野もあります。
そこで、改めてデータを見てみました。
すると、「日本は技術で負けている」という単純な説明だけでは理解できない、
少し不思議な姿が見えてきます。
日本の世界競争力は2026年、30位
IMDが2026年6月に発表した「世界競争力ランキング2026」で、日本は70カ国・地域中30位。
2025年の35位から5つ順位を上げました。
改善したこと自体は前向きな材料です。
しかし、日本の経済規模、企業数、研究開発力、製造業の蓄積を考えたとき、
「30位」という位置をどう見るべきでしょうか。
さらに興味深いのは、その中身です。
2025年版IMDでは、日本は、
• 科学インフラ:8位
• 生産性・効率性:56位
• 経営慣行:65位
という結果でした。
まり、
科学技術に強い日本と、
それを企業競争力へ変えていく部分との間に、大きな差があった。
ここに重要なヒントがあるように思います。

日本には、本当に技術がないのか?
次にイノベーションを見ます。
WIPO「Global Innovation Index 2025」で、日本は139カ国・地域中12位。
しかも、
特許ファミリーは世界2位。
企業が実施する研究開発は世界3位。
生産・輸出の複雑性は世界1位。
日本は、現在も世界有数の技術・研究開発基盤を持っています。
一方で同じWIPOデータでは、
労働生産性成長96位、
起業政策・文化66位。
という弱点も示されています。
なお、2026年版Global Innovation Indexの本編は2026年9月29日公開予定のため、
本記事公開時点では2025年版が最新です。
ここでも同じ疑問が生まれます。
技術があるのに、なぜ成果へ十分につながらないのか?
AIでも「導入」ではなく「成果」で差が出ている
2026年のPwCによる6カ国調査では、日本企業の生成AI活用・推進率は87%。
米国90%、英国89%などと比べても、導入・推進そのものには大きな差がありません。
ところが、
「期待を大きく上回る効果が出ている」
と回答した企業は、
日本 9%
米国 38%
英国 32%
でした。
さらに、生成AI施策から1年以内に効果が出ると想定する企業は、米国66%に対して日本41%でした。
新しい技術を知らないわけではない。
取り組んでいないわけでもない。
それでも、実際の成果に変わるまでの速度に差がある。なぜでしょうか。

海外企業との打ち合わせで感じた、大きな違い
先日、ある海外企業と新しいテーマについて打ち合わせをする機会がありました。
まだ答えの出ていないテーマです。
当然、不確実な部分もあります。
こちらから可能性を説明したとき、相手から返ってきた答えは非常にシンプルでした。
「面白い。まずやってみよう。」
その場で方向性を決め、次のアクションへ進もうとする。
もちろん、何も考えずに突っ走るという意味ではありません。
むしろ、
「分からない部分があるなら、実際に確認してみよう」
という姿勢でした。
私は、この反応の速さが非常に印象に残りました。
なぜなら、日本企業との打ち合わせでは、別の言葉を聞くことが少なくないからです。
「一度、社内で検討します。」

「検討します」のあと、世界は止まってくれるのか?
もちろん、検討すること自体が悪いわけではありません。
安全。
品質。
人命。
巨額投資。
こうした判断には慎重さが不可欠です。
しかし、すべての新しいテーマに同じ意思決定プロセスを適用するとどうなるでしょうか。
担当者が検討する。
上司へ説明する。
関係部署へ説明する。
追加資料を作る。
会議をする。
稟議を通す。
もう一度検討する。
その間にも、競合企業は動いています。
最初の実験をする。
失敗する。
原因を調べる。
条件を変える。
もう一度試す。
そしてデータが蓄積されていく。
日本企業がようやく、「では、一度やってみましょう」となった頃には、
相手は既に何周も試行錯誤をしているかもしれません。
「分からない」が意思決定を止めていないか?
RIETIが2025年に実施した日本の製造業企業調査でも、
特に海外取引の少ない企業ほど、不確実な状況を十分に把握できず、
意思決定を先送りする傾向が示されています。
RIETIは、不確実性が整理された「リスク」ではなく、
単なる「分からなさ」として残ることで、企業行動を停滞させている
可能性を指摘しています。
この「分からない」という状態を、どう扱うのか。
ここに大きな差があるのではないでしょうか。

前例を求め続ければ、前例を作るのは他社になる
新規事業や新技術では、
「成功する根拠はありますか?」
「導入実績はありますか?」
「他社で採用されていますか?」
と聞かれることがあります。
非常にもっともな質問です。
しかし、誰もやったことのないテーマで、最初から十分な前例が存在するでしょうか。
前例ができるまで待つ。
成功事例ができるまで待つ。
市場ができるまで待つ。
その判断を続ければ、
前例を作る企業は、いつも別の企業になります。
そして、もう一つのリスクがあります
企業では、何かを実行して失敗すると原因を検証します。
なぜ失敗したのか。
誰が判断したのか。
いくら損失が出たのか。
次はどうするのか。
では、「あの時、決断しなかったために失ったもの」は、誰が検証するのでしょうか。
検討していた半年。
取れなかったデータ。
先に進んだ競合。
逃した市場。
生まれなかった製品。
出会えなかった顧客。
これらは決算書に、
「検討損失」
として記載されることはありません。
だから、見えにくい。
しかし、本当にゼロなのでしょうか。

失敗するリスクだけでなく、「動かないリスク」も考える
日本企業の慎重さは、決して悪いものではありません。
むしろその慎重さが、
高品質。
安全性。
信頼性。
長期耐久性。
といった、日本のものづくりの強さを支えてきました。
だから、慎重さを捨てる必要はありません。
問題は、慎重さとスピードを両立できないか。ということです。
今後成長するAI、エネルギー、環境、資源循環、モビリティ、
新素材などの分野では、最初からすべての
答えが分かっている案件ばかりではありません。
ならば、
「失敗したらどうする?」
と考えるのと同時に、
「今やらなかったらどうなる?」
も判断材料に入れてよいのではないでしょうか。

では、どうするのか?
ここで初めて、私たち自身の経験から一つの考えを提示したいと思います。
いきなり大きな投資をする必要はありません。
まず、小さく試す。
測る。
データを取る。
結果を見る。
考察する。
条件を変える。
もう一度試す。
そして、その一次情報を基に次の判断をする。
これは、根拠のないチャレンジではありません。
むしろ、
判断するための実験です。
私たち株式会社Edge Creatorsは、これまで開発、実験・評価、分析、現地計測などを通じて、
まだ答えのない技術課題に向き合ってきました。
分からない現象があれば測る。
既存設備で分からなければ、実験方法から考える。
必要なら実験装置も作る。
そして結果を分析し、次を考える。

測る。試す。考える。
技術開発では、ごく当たり前のことです。
しかし、この考え方は経営や新規事業の意思決定にも使えるのではないでしょうか。
100%確信できるまで会議を続けるのではなく、
判断するために、まず確認する。
日本には、まだ世界で戦える技術があります。
特許があります。
研究開発力があります。
製造技術があります。
そして何より、現場には膨大な経験と知恵があります。
だからこそ、私はもったいないと思います。
日本に足りないのは、本当に「技術」なのでしょうか。
必要なのは、新しい技術だけではなく、
「決めて、動き、確かめる力」
なのかもしれません。
失敗した責任は問われる。
では、“決めなかった責任”は誰が取るのか。
これからの日本企業にとって、一度考えてみる価値のある問いだと思います。

よくある質問
Q.日本の世界競争力は2026年現在何位ですか?
IMD「World Competitiveness Ranking 2026」で、日本は70カ国・地域中30位です。2025年の35位から5つ順位を上げています。

Q.日本の技術力は世界的に低いのでしょうか?
単純には言えません。WIPOのGlobal Innovation Index 2025では日本は総合12位で、特許ファミリー2位、企業による研究開発3位など、依然として高い技術・研究開発力を持っています。

Q.日本企業の意思決定が遅いというデータはありますか?
RIETIの製造業企業調査では、不確実性が高い状況で、特に海外取引の少ない企業ほど状況を把握できず、意思決定を先送りする傾向が示されています。

Q.意思決定は速ければ速いほどよいのでしょうか?
そうではありません。安全、人命、品質、巨額投資などには慎重な判断が不可欠です。一方、不確実なテーマでは、小規模な実験や評価によって判断材料となる一次情報を増やし、その結果を基に次の判断を行う方法があります。

Q.Edge Creatorsは何をする会社ですか?
株式会社Edge Creatorsは、開発、実験・評価、分析、現地計測などを組み合わせ、机上検討だけでは判断できない技術課題に対して一次情報を取得し、原因分析・考察から次のアクション検討まで支援しています。

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